\What is Mithila Art?/

ミティラーアート(マドゥバニアート)とは?

ミティラーアート(Mithila Art)は、インド北東部からネパール南部のタライ地方にまたがる、ミティラー地域に古くから伝わる伝統絵画です。

別名「マドゥバニ・アート(Madhubani Art)」とも呼ばれています。
ミティラーアート(Mithila Art)は、インドとネパールにまたがるミティラー地方に、古くから伝わる伝統絵画です。

ミティラーアートの歴史

ミティラー地方には、インドの有名な叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する「ミティラー王国」があったと伝えられています。

この地方に伝わる有名な伝承のひとつに、ミティラー王国の王ジャナカが、娘シータと婿ラーマの結婚式を祝うため、王国を美しく装飾するよう人々に命じたことが、ミティラーアートの始まりになったという物語があります。


ミティラーアートには長い歴史があり、少なくとも14~12世紀頃には、ミティラー地方の女性たちが家の壁や床に、神々や豊穣、家族の幸福を願う絵を描いていたことが研究によって示されています。
今から約800年以上前から受け継がれてきた、ミティラー地方の暮らしと祈りに根ざした伝統です。

もともとは結婚式や祭礼などの大切な日に、家の壁や床などに神々や自然を描き、家族の幸福や豊穣を祈るためのものでした。

現在では、紙や布、キャンバスなどにも描かれるようになり、伝統的な技法を受け継いだ作品だけでなく、現代社会の問題や女性の生き方、環境などをテーマにした作品も生まれています。

絵画だけではなく、工芸品や生活雑貨などにもその表現が広がり、ミティラーアートは今も進化を続けています。

ミティラーアートの特徴

ミティラーアートの魅力は、
鮮やかな色彩、力強く繊細な線、そして画面いっぱいに描かれる細かな模様にあります。

人物や動物、植物などをはっきりとした線で描き、その内側や周囲を花や葉、点、線、幾何学模様などで丁寧に埋めていきます。

一般的な絵画のように光や影によって立体感を表現するのではなく、平面的な形と色、そして細かな模様によって世界を表現することも大きな特徴です。

太陽や月、魚、鳥、孔雀、蓮、木など、自然や生命を象徴するモチーフも多く登場します。

また、ヒンドゥー教の神々や神話、結婚や祭礼など、人々の暮らしに深く関わるテーマも大切にされています。

ミティラーアートの伝統的な技法

昔のミティラーアートは、家の壁や床などに、指や枝、竹など身近な道具を使って描かれていました。

色には、炭やウコン、インディゴなど、身近な自然から得られる素材が使われることもありました。

現在では、布、手漉き紙、キャンバスなどさまざまな素材に、絵の具やペンなどを用いて描かれています。

伝統を受け継ぎながらも、素材や表現方法は時代とともに変化しています。

それぞれの土地や家系、描き手によって異なる表現が生まれていることも、ミティラーアートの魅力のひとつです。

Nojicoとミティラーアートとの出会い

私がミティラーアートに出会ったきっかけは、ヨガでした。

もともと私は、シニアヨガのインストラクターをしていました。

ヨガを学ぶ中でインドの哲学に興味を持ち、そこからインドやネパールの文化、そしてアートへと惹かれていきました。

新潟県には、ミティラー画をはじめ、ワルリ画やゴンド画など、インドの伝統絵画を紹介する「ミティラー美術館」があります。

私は実際にそこを訪れ、代表的なミティラー画家のひとりであるガンガー・デヴィさんをはじめ、数々のアーティストの作品に触れました。

その作品たちは、私の心に強く残りました。

また当時、チベット・タンカにも興味を持っていた私は、ネパール在住の日本人絵師の指導のもと、オンラインでタンカを学んでいました。

伝統絵画の学びを深めるため、私はネパールへ向かいました。

タンカの学校に通いながら、私はミティラーアートの世界にも足を踏み入れることになります。

ネパールでの学び

最初にミティラーアートを教えてくださったのは、ミティラー地方出身の女性でした。

彼女はミティラーアートの歴史や文化、そして伝統的な描き方を、とても親身になって教えてくださいました。


そこで私が特に興味を持ったのが、線の描き方です。


私が学んだ伝統的な描き方では、中心から外側へ向かって描き進め、定規を使わず、細かな下書きをせずに線を引く方法。

一本一本の線がフリーハンドで描かれるからこそ、描き手の個性がそのまま作品に表れる。

そのことに気づいたとき、私はミティラーアートの面白さをさらに深く感じるようになりました。

さらに深く、ミティラーアートを学ぶ

帰国後は、インドのミティラー画家のもとでも学びを深めました。

課題はたくさんあり、ついていくことに必死でした。

それでも、とにかく描く。

描いて、描いて、また描く。
その繰り返しでした。

何度も添削をしてもらい、オリジナルの作品も制作しました。
ミティラーアートには、さまざまなモチーフや描き方、模様のパターンがあります。

まずはその基礎を一つひとつ学び、身体で覚えていくことが大切でした。


ネパールでの学び、インドの画家からの学び、そしてこれまで触れてきたヨガやインド哲学の学び。

これまでのすべての経験が、今の私の作品の基盤となっています。

伝統アートを、あなたの暮らしに

ミティラーアートには、ここではまだまだ語りきれないほどの長い歴史と、豊かな文化があります。

私が描くミティラーアートは、現代的でオリジナル性の高い作品が多いかもしれません。

それでも、伝統的な技法や表現を大切にしながら、一枚一枚、心を込めて描いています。

可愛らしさや色彩の楽しさの中に、

「幸せが訪れますように」
「毎日が穏やかでありますように」

そんな想いを込めて。

作品を手に取ってくださった方の心が、ふっと温かくなるような作品を届けたい。

ミティラーアートが、あなたの暮らしの中に小さな彩りと幸せを添えられますように。

Nojico

ネパールでの小話

ミティラーアートを学ぶためにネパールを旅していた頃、旅先で出会った日本人の雑貨屋経営者の方から、ミティラーアートの工房を営むご家族を紹介していただきました。

このページに掲載している写真のいくつかは、そのご家族がご自宅に招いてくださったときの思い出の写真です。

彼女たちは、絵画だけでなく、コースターやしおり、陶器、鏡など、カラフルで可愛らしいミティラーアートの商品を制作しています。

ネパールでさまざまな賞を受賞されている、私が尊敬する方々です。

外国人である私を温かく迎え入れ、ミティラーアートについてたくさんのことを教えてくださいました。

そして今でも、私のアーティスト活動を応援してくださっています。

遠く離れた場所にいても、今なお交流が続いている、大切な方々です。

工房では、ミティラーアートの体験教室も行っているそうです。

もしネパールを訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでみてくださいね。

工房のInstagram

Mithila Nari Hastakala Center